データサイエンティストとは?目指すなら取得しておきたい資格5選【初心者向け】
AIの進化に伴い、ますます注目が高まっているデータサイエンス分野。ビジネスの現場ではもちろんのこと、2022年からは高校の共通必修科目である「情報Ⅰ」にデータサイエンスの基礎課程が組み込まれ、2025年1月には共通テストで同科目の実施が予定されています。さらに「情報Ⅱ」ではデータサイエンスに欠かせないプログラミングの基礎も採用されるなど、AI時代を生きるために必要な知識として、近年では教育にも取り入れられつつあります。
本記事では「データサイエンス分野の仕事に就きたい」「これからデータサイエンティストを目指すにはどうすればいいの?」という方に、データサイエンティストの仕事内容やデータアナリストとの違い、おすすめしたい資格をご紹介します。
データサイエンティストとは?
データサイエンティストとは、データの収集・分析を専門とし、分析からその結果にもとづいたビジネスの課題解決・意思決定までを一気通貫で行う職業です。膨大なデータを分析し、その中に法則や関連性、何かしらの意味を見つけ出すことが、企業の抱える問題点の改善や事業戦略の意思決定に役立つのです。
データサイエンティストの仕事内容の一部
課題の抽出
クライアントにヒアリングを行いながら、ビジネスの課題を洗い出し、解決すべき具体的な目標を設定します。
データ収集と前処理
抽出した課題を解決するために収集・分析するべきデータは何かを決定し、必要なデータを集めます。また、収集したデータを分析しやすいよう、クレンジング(データの誤記載・未入力・重複などの修正)やフォーマットの統一などを行います。
データ分析とモデリング
探索的データ分析(EDA:Exploratory Data Analysis)、統計分析、機械学習モデルなどを用いて、収集したデータを分析します。
レポート作成・提案
分析結果をわかりやすくまとめ、そこから得られる結論や推察をふまえて、具体的な改善点や事業戦略を提案・実行します。
データサイエンティストに求められるスキル
分析スキル
基本的な統計手法と確率論の理解に加え、線形代数や微積分など、データ分析に関連する数学的知識が必要となります。
ITスキル
データ分析で使用されるプログラミング言語(Python、R、SQLなど)や、機械学習に関する知識を要します。また、Matplotlib、Seaborn、Tableau、Power BIなどのツールを使って分析データを視覚化し、わかりやすいグラフや図を用いてレポートにまとめるスキルも必要です。
その他のスキル
クライアントや社内のヒアリングで企業が抱える本質的な問題点を見つけ出すことや、分析結果をビジネスの文脈で解釈し、具体的な解決策へとつなげることもデータサイエンティストの重要な役割です。そのため、コミュニケーション力やビジネスに対する理解力、チームをまとめあげるマネジメント力も求められます。
データサイエンスを学べる大学
以下はデータサイエンスについて学べる主な大学です。情報系・理工学系・経営系の学部内に学科やコースの1つとして置かれる場合が多いようですが、一橋大学や横浜市立大学など、データサイエンス専門学部を設置する大学も増えてきています。
大学 | 学部・学科・コース |
---|---|
一橋大学 | ソーシャル・データサイエンス学部 |
滋賀大学 | データサイエンス学部 |
山形大学 | 理学部 データサイエンスコース |
佐賀大学 | 理工学部 データサイエンスコース |
長崎大学 | 情報データ科学部 データサイエンスコース |
九州工業大学 | 情報工学部 知能情報工学科 データ科学コース |
横浜市立大学 | データサイエンス学部 |
名古屋市立大学 | データサイエンス学部 |
中央大学 | 理工学部 ビジネスデータサイエンス学科 |
北里大学 | 未来工学部 データサイエンス学科 |
南山大学 | 理工学部 データサイエンス学科 |
京都女子大学 | データサイエンス学部 データサイエンス学科 |
※2024年5月時点の情報です。
データアナリストとは?
データアナリストは、データサイエンティストと同じくデータ分析と課題解決の支援をする職業。大きく課題の洗い出しや改善策の提案などコンサルティングに特化した「コンサル型」と、機械学習やデータの処理など技術的なスキルに特化した「エンジニア型」の2種類に分けることができます。
データアナリストの仕事内容
●コンサル型
ヒアリングと課題の抽出
クライアントにヒアリングを行いながら、ビジネスの課題を洗い出し、解決すべき具体的な目標を設定します。
提案
分析結果を分かりやすくまとめ、そこから得られる結論や推察をふまえて、具体的な改善点や事業戦略をクライアントに提案します。
●エンジニア型
データ収集と前処理
抽出した課題を解決するために収集・分析するべきデータは何かを決定し、必要なデータを集めます。また、収集したデータを分析しやすいよう、クレンジング(データの誤記載・未入力・重複などの修正)やフォーマットの統一などを行います。
データ分析とモデリング
探索的データ分析(EDA)、統計分析、機械学習モデルなどを用いて、収集したデータを分析します。
データアナリストに求められるスキル
データアナリストに必要なスキルは基本的にデータサイエンティストと同じですが、コンサル型ではとくにヒアリング力やコミュニケーション能力、エンジニア型ではとくにデータベースやAI・機械学習・分析に関する深い知識とスキルが求められます。
データサイエンティストとデータアナリストの違い
データアナリストがデータ分析によるビジネスの現状把握や課題解決の支援を主な業務としている一方、データサイエンティストはより技術的で高度なデータ解析や予測モデルの構築を行い、課題の抽出から解決策の提案までをワンストップで行います。一般的にはデータサイエンティストの方が求められる知識・スキルや業務の幅が広いため、データアナリストとして経験を積んだ後に、データサイエンティストになるというキャリアパスも存在します。
しかし、日本では現在データサイエンティスト・データアナリストの線引きがあまり明確ではなく、実際の業務範囲や求められるスキルはこの通りでないこともあります。データサイエンティスト・データアナリストとして就職を目指す際は、各企業の求人情報で業務内容をしっかりと確認することが大切です。
データサイエンティスト・データアナリストにおすすめのデータ分析・AIに関する資格5選
ここでは、MOSを始めとしてIT・パソコンスキルに関する試験を幅広く実施しているオデッセイコミュニケーションズが、データ分析やAIに関するおすすめの資格・試験をご紹介します。
資格・検定 | 概要 |
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統計検定 | 統計に関する知識や活用スキルを評価する試験です。統計表やグラフ、調査・実験、確率など統計に関する基礎レベルの知識を問う4級から、より発展的かつ実社会のデータ解析ニーズに対応するスキルを問う1級までの他に、データ分析をビジネスへ応用するための知識・スキルを評価する「データサイエンス基礎」「データサイエンス発展」「データサイエンスエキスパート」の科目などがあります。 |
Pythonエンジニア認定試験 | 汎用プログラミング言語であるPythonの専門知識を評価する試験です。Pythonはデータ分析によく用いられるプログラミング言語の1つであり、学習・習得することでデータ分析をより効率的に行うことができます。「Python3 エンジニア認定データ分析試験」の科目では、Pythonの知識にくわえて、統計や数学に関する知識も問われます。 |
ビジネス統計スペシャリスト(エクセル分析スペシャリスト) | Excelのグラフ機能や関数を用いた統計スキルを証明する資格で、仮説検定、相関分析、回帰分析、ダミー変数など、Excelを活用したビジネスデータ分析の実践力が身につきます。普段からExcelを利用していて、これからデータ分析の仕事を目指す方の足掛かりとしてトライしやすい試験といえます。統計やデータ分析初学者の方は、基礎レベルである「エクセル分析ベーシック」からの受験がおすすめです。 |
Microsoft認定資格 | Azureを提供しているMicrosoft主催の認定資格です。「Azure AI Fundamentals(AI-900)」の科目では、AI・機械学習の基礎知識やAzureの機能について問う問題が出題され、学習・取得によってAzureの基本的な利用スキルを身につけることができます。Azureを学ぶにあたり最初のステップとして取得を目指すのがおすすめです。 |
データ分析実務スキル検定(CBAS) | 「シチズン・データサイエンティスト級」は、データ活用を推進する企業で現場社員が自ら手を動かし仮説検証や、データハンドリングから分析までをExcelを駆使して行うことができるかを問う検定です。学習・取得することで、社内のデータ活用シーンにおいて必要な分析思考を有し、自らデータの抽出・加工をし、Excelを使った可視化・仮説検証をスムーズに行えることが証明できます。他にも、データサイエンスの基礎知識を有し、経営陣とデータサイエンティストやエンジニアの橋渡し役となり、プロジェクトを横断的・円滑に進める能力を問う「プロジェクトマネージャー級」があります。 |
※2024年5月時点の情報です。